・時砂の王(小川一水著。ハヤカワ文庫)
とても面白かった。時間を遡りながら、謎の自己増殖型機械の侵略と戦う人工知性体たち。侵略者たちも時間を遡りながら太陽系を支配する歴史を作ろうとする。
時間の流れが樹の枝に例えられ、時間を遡り歴史を変えるたびに幹から新しい枝が発生するという説明もわかりやすい。
主人公の人工知性体オーヴィルが人類を救うため、大勢の仲間とともに最初の時間遡行に向かう。
その直前、上官から特秘事項が開かされる。ここが一番私は泣けたねorz。。。
・悪霊(ドストエフスキー)
悪霊とは当時ロシアを覆っていたいくつかの思想のこと。
救いがほとんどない話だけど、面白かった。
自殺することで神の存在を否定し、新たな神になれるという思想を持つキリーロフ。
その奇妙な思想が革命家たちによる犯罪にまんまと利用されてしまうというのが皮肉だった。キリーロフ自身は納得していたようでしたが。
イワン・シャートフの妻、マリィは元祖ツンデレw
・地下室の手記(ドストエフスキー)
主人公のあまりに粘着質で突飛な行動の連続に劇わらた。
大嫌いな同級生の送別会に、無理矢理出席させてもらって、案の定孤立してポツンとしてみたり。。。
思っていることと行動が正反対。屈辱を快楽にする超どM。
また、前半の主人公の独白部分は素晴らしいと思う。
現代の若者や孤独な人々の苦悩や思想、自らを慰めるための方便、哲学バカの戯言、それらのほぼすべてが語りつくされている感じw
さらに現代でいう物理の大統一理論、自然の法則のすべてを解き明かしたら人間はどうなるのかといったことにまで触れられているのは凄いと思う。この時代にもすでにここまで考えていた人がいるのかと思った。
「なにしろ自意識の直接かつ当然の生産物は無気力、すなわち意識的に手をこまねいている状態なのだから」
目から鱗が落ちる思いでした。
・粘膜人間(飴村行著。角川ホラー文庫)
大変面白かった。粘膜人間とは、河童のこと。
その河童が、非常に生々しく描かれている。知能が人間より少し低く、単純だが妙に狡猾な面も持っている。そして好色。
その河童に、人間が殺人を依頼するところから物語が始まります。
河童をうまくおだてて、乱暴者の弟を殺してもらおうと、兄二人がもくろむ。
綿密な計画をたてて実行するのですが、やはり河童はいい加減で、計画どおりには行かず、その後軍人なども巻き込んで、登場人物たちの思惑と行動が絡まりあい、出会ったところでドロドロぐちゃぐちゃのスプラッタホラーが繰り広げられます。
軍人が使う、惨殺される夢を必ず見させる「髑髏」という自白剤も強烈で、身の毛がよだつまさに悪夢のような描写だった。
・秒速5センチメートル
アニメ。絵は奇麗だけど、私はとてもつまらなかった。
恋愛の雰囲気とかシチュエーションの描写は細かい。
要は鏡のようなアニメで、見ている人自身の恋愛経験と照らし合わせて共感できる部分が多い人にとっては、懐かしさと過去の甘酸っぱさを思い出させてくれる素晴らしい作品なんじゃないかと思う。
普通に見ていると、主人公に魅力を全然感じない。どこがいいんだこんなスカしたやつとか思ってまうw
・ルサンチマン(花沢健吾著)
漫画。30歳で工場勤務のさえない主人公たくろーが、引きこもりの友人越後に誘われて、パソコンのギャルげーをプレイさせられる。
ヘッドギアをつけ、グロープをつけ、ゲームを始めると、そこは現実と間違うほどの仮想空間「アンリアル」の世界。
越後は現実とは似ても似つかぬ美青年「ラインハルト」様になっていて、大きな城に5人の美女と住んでいるw
「すげえAIエンジンが開発されてよ、生きてんだよ本当に」
たくろーは現実の女をあきらめ、貯金をはたいてパソコン一式とソフト、デバイスを買うことに。。。
「現実を直視しろ。おれ達にはもう仮想現実しかないんだ」
という越後のセリフが、私にも深く深くつきささるw
このアンリアルの世界は、ネットにつなぐとMMOとしてもプレイできて、他のプレイヤーと交流したり商売したりすることも可能です。国同士の大規模戦争もあるw
この手の漫画や小説って、たいてい結局仮想現実が悪で、現実の友人、恋人、家族が何より大事なんだという結末に向かうことが多いと思うのですが、それらとはちょっと違う結末に進んでいくのが面白かった。
しかしこの世界って、変な規制をかけられなければ、そう遠くない未来に実現しそうな気がしますね。
リネージュ2を、もうちょっとリアルにして、ヘッドギアやグローブでプレイできるようにして、エロ解禁すればそれでもうほとんどこの世界と変わらんじゃんw