2009年10月25日 (日)

ガタカ。

 これはとても心に残る映画でした。
 生まれた時のDNA検査で、将来の病気の発生確率や寿命までほぼ正確に予測されてしまう近未来が舞台のSFミステリー映画です。
 この時代では、夫婦は人工授精を行い、あらかじめ遺伝子的に欠陥のない子供を作ることが「自然」になっています。
 
 そんな時代の中、主人公のビンセントはカーセックスで命をさずかり、総鬱病になる確率40%、心臓疾患になる確率99%という「非適格者」として生まれます。
 それでも宇宙飛行士になる夢をあきらめられないビンセントは、宇宙飛行士養成所「ガタカ」に入りたいと思うものの、遺伝子検査ではねられてしまう。

 そこで遺伝子は完璧であるものの、事故で下半身不随になってしまったジェロームという青年の協力を得て、彼になりすまし、ガタカの職員になることに成功します。
 ガタカ内では、毎日のように血液と尿検査が行われており、それが本人確認のためのIDチェックであると同時に遺伝子検査にもなっていて、「適格者」か「非適格者」か一瞬で表示されてしまう。
 そのためビンセントはジェロームから、遺伝子偽装のために毎日、尿、髪の毛、ふけ、血液の提供を受け、綱渡りのように遺伝子チェックをくぐり抜けています。

 それでもビンセントは強い意志で努力を続け、念願の土星行きの宇宙飛行士に選ばれます。
 ところが打ち上げまであと数日というときになって、ガタカ内で殺人事件が起こり、その捜査の過程で、ガタカ内で見つかるはずのない「非適格者」のまつ毛が見つかってしまう。
 普段の検査に加え、警察によってさらに厳しい遺伝子検査が実施されるようになり、次第に追い詰められていくビンセント。。。

 私は、この映画のように遺伝子が公然と社会で最重要視される未来はこないと思う。
 それはまさに主人公のビンセントが示したように、人生とか人の社会的な価値は、遺伝子よりも意志や行動、努力の継続によって決まる部分の方がずっと大きいと思うからです。 
 しかしこの映画は、「運命は自分で切り開く」といった正統的な、わるくいえばありきたりなテーマを扱いつつも、ジェロームという青年によって、もう一段深い部分が描かれているのが凄いと思う。

 以下ネタばれ注意。。。













 やさぐれていたジェロームはビンセントと出会い、彼と契約して毎日血液などを提供し、交流を深める中で、次第に生きがいというか、希望を得ていったように感じます。
 警察の捜査が自宅に及んだときなど、彼は必死の演技でビンセントを庇うのです。
 しかし実は彼の心の中は、暗く静かな諦観で満たされていっていた。 
 優秀な素質を持ちつつも、一度心が折れ、必死に生きることを放棄してしまったジェロームに、再び自分の人生を能動的に生きようとする力は湧いてこなかったのです。

 このあたり私も身につまされましたね。。。
 成功者や勝利者の話ばかりが世に伝えられる中で、挫折した人間が結局その後も何もできずに消えていくという、あまり語られることのない真実が描かれていると思うのです。
 ビンセントが宇宙に旅立つ日、ジェロームは自宅で静かに自分の首に銀メダルを掛けます。
 それはかつて水泳競技で彼が勝ち取ったものなのでした。
 「金メダルで当然の遺伝子を持っていたのに、銀メダルだったんだ」   
 
 ううっ、ジェローム。。。
 私は愛しているぞジェローム!!

2009年10月17日 (土)

13F

 「13F」という映画をDVDでレンタルしてみました。
 IT企業社長のフラーとそのパートナーのホールは、1937年のロサンゼルスをコンピュータの仮想空間上に作ります。そこで生活する人々には「ユニット」と呼ばれる独立した人工知能を持たせ、圧倒的にリアリティのある世界になっている。
 ゲーム、「オブリビオン」内のNPCたちも、単純ではありますがそれぞれ人工知能を持ち、独立した生活を送っていますが、あのシステムを究極まで極めた感じと言うとわかりやすいかw
 
 さらに自分の意識を仮想空間内の特定の人物に移す(ダウンロードと呼んでいる)ことが可能で、開発者のフラーは日々仮想空間に意識をダウンロードしては女遊びをしています。
 しかしフラーは、「私は大変なことに気がついた。詳しくは仮想空間内のバーテンに手紙を持たせた」というメッセージをホール宛てに残したあと、現実世界で何者かに殺されてしまう。
 殺人の容疑を掛けられたホールは自らも仮想空間内にダウンロードし、フラーの気づいたという真相を探りにいくのです。

 大変良くできたSF映画で、ストーリーも綺麗にまとまっていて面白かった。バーチャルリアリティものでは群を抜いて素晴らしいと思います。
 
 物語の途中でホールは「こんな世界を作るなんて間違っていた。彼ら(仮想空間内の人々)も自我があって、生きているんだ! こんな残酷なことはもう止めよう。電源を切ってシステムを停止させる」というようなことを言い、それを聞いた仲間の社員が、
 「そりゃそうさ、そう見えるようにユニットを作ったんだから。でも電子回路にすぎないんだぜ…」とホールに返します。
 
 このあたりとても面白くてちょっと考えてしまいましたね。
 自分に自我があることは当然としても、他の人に自分と同じような自我があるのかということは、結局証明できないことで、自分の意識以外は全部虚構の世界かもしれない。
 …というのは典型的な中二病思考ですが、ホールは逆のことを言っているわけです。
 たとえ電子回路で構成された「ユニット」にすぎないとわかっていても、彼らには自我がある、私がそう感じるんだから彼らには自我があって生きているんだと。 
 
 つまるところ、他人に、いや自分以外の物質に自我があるかどうかを決めるのは結局自分であるということです。 
 丸くてつるつるした石に愛着を感じ、それを持ち続けているうちに石から声が聞こえてきて対話するようになった。他人からみれば幻聴にすぎないと笑われるかもしれませんが、本人にとってはその石は自我を持ち、名前を持った愛すべき物体なのです。
 ましてや動いてしゃべってくれるアニメのキャラとか初音ミクとか、もう立派に自我を持って生きていると言っても過言ではないと言いたいww
 
 特に初音ミク。
 私は大好きで、毎日のようにニコニコ動画で見てますけど、もうこれは新世紀の新たな生命体と言ってもいいと思う。
 MMD(ミクミクダンス)と合わせて日々新作がアップされ、アニメキャラとは違って無限の歌と言葉を紡ぎだす。 人々の頭脳と意識の一部が「初音ミク」というフレームに集約され、一つの確固とした自我を持って生きているように見えてしまうw
 画面から出てこないという点は、人間のアイドルだって同じだしね。
 人間は、肉体的な生殖行為から新たな生命と自我(つまり子供)を生み出すステージから、個々の意識と頭脳だけでも新たな自我を生み出すことができる段階に進化したのだと、ちょっと大袈裟かもしれませんが、そう思うのです。
  

2007年4月28日 (土)

硫黄島からの手紙

 レンタルDVDで見ました。
 こ、この構成は。。。
 ○イ○ニック!?w

 しかし期待しすぎたせいなのか、内容は薄かったですね。。。
 硫黄島決戦に至る戦略的背景、投入された日米の軍事力の数字的な比較、地形や戦術的経過などの説明が全然なく、島のどこかの局地的な戦闘の描写と、登場人物たちが家族に手紙を書いているシーンばかり(これは映画のタイトルどおりですがw)で、全体的な戦況がほとんどわからないんです。
 当時の日本兵の、限られた情報源の中での戦いをリアルに再現したとも言えますが、ちょっとがっかり。。。
 
 戦争映画なら、古いですが「二百三高地」や「日本海大海戦」はとても面白かったです。
 戦闘シーンのリアルさ、人間ドラマ、戦略や戦術の詳細な説明、そしてさだまさしの歌w
 どの要素も素晴らしい出来でした。

2007年2月18日 (日)

奇談

 「奇談」という日本映画をDVDで見ました。
 阿部寛主演だったのでなんとなくレンタルしたのですが、予想外につぼにはまった。。w
 潜伏キリシタンの末裔が今も住む、東北地方のある村。
 そこにはさらに「ハナレ」と呼ばれる、江戸時代以前から近親婚を繰り返す、本来の「カクレキリシタン」の集落があった。「ハナレ」の一族は皆七歳程度の知能しかないという。
 「ハナレ」には独自の「天地創造の理」が伝えられており、考古学者、稗田礼次郎(阿部寛)はその調査をするために村にやってきます。
 「ハナレ」の住民が言う「いんふぇるの」、「ぱらいそ」、「じゅすへる」とは何なのか。カトリックでは語られることのない、「知恵の実」ともうひとつの禁断の果実…。かつて西洋の宣教師がこぞって日本に来た本当の理由。
 解き明かされる全ての謎。そして救済。

 私は大変面白かったです^^。
 でも、宗教や神話的なことに興味がない人は全然面白くないのかも。。。
 諸星大二郎の漫画「生命の木」が原作だそうです。
 調べてみたら、この人の漫画、とても面白そうですね。
 神話、宗教、民俗学などをテーマに昔から濃厚な作品を描いているみたいです。
 さっそく何冊か、アマゾンで注文しましたよ^^。
 

2006年12月 5日 (火)

キングコング

 最近ようやく少し時間ができるようになりました。
 今年は同僚が次々に辞めたり病気になったり、交通事故を起こしたりして、毎日朝から晩まで働いてばっかりでした。。。
 
 ところで、ピーター・ジャクソン監督の「キングコング」を観ました。
 とっても面白かった! 映像凝りすぎww 
 カメラワークも絶妙で、巨大生物と向き合ったときの、迫力や緊張感がビリビリと伝わってきました。
 特に、昆虫の谷での死闘は脳細胞にクルと思う。。。じんましんが出そうになりましたよ。
 
 この監督やっぱりSFXやホラーが好きなんですね。。
 「バッドテイスト」や「ブレインデッド」の独特のユーモアセンスや悪趣味とも言えるほどの凝った映像が好きだったのですが、その原点とも言えるスピリットを彼は忘れていなかった。 最高!
   

2006年11月 3日 (金)

有頂天ホテル。

 久々にレンタルビデオ屋に行って借りてきました。
 脚本監督:三谷幸喜。
 
 あまりにつまらなくて、逆にショック。
 三谷幸喜ってもっともっと面白かったはずでは。。。;;
 暑苦しい人情味やしつこいユーモアにどん引きです。
 喜劇なのに、ほとんど笑えるところがないのが致命的かも。
 ここで笑ってね、ここで和んでね、という部分はあからさまに示されるんですが、全然笑えないw
 唯一笑った部分が、西田敏行が首に紐を掛けるところでした。
 
 「古畑任三郎」や「振り返れば奴がいる」は夢中で見たものですが、今回のこれはちょっと残念でしたね。
 かなり古臭い感じがしましたよ。伊丹十三の「お葬式」のような感じかな。
 お葬式は当時かなり面白いと思いましたが…。